山元町の古民家に、薬用に用いる植物、キハダ(写真1)が栽培されております。かねてより山元町の「伊達むらさき」に注目して研究を行っている東北福祉大学の小野木准教授は薬剤師の資格を有しており、キハダの周皮(黄色い皮の部分)に関心があるとのことでしたので、当NPOがキハダの伐採・周皮の観察会を企画し、7月20日に実施いたしました。
写真1. キハダが栽培されている様子
キハダの周皮は梅雨明けの前後に伐採すると剥ぎ易いとの情報を小野木准教授から聞いていたため、この時期の伐採となりました。また今回の企画には、同じく「伊達むらさき」を研究している城西大学生薬研究室の研究者(白瀧教授、鈴木准教授、北村助教及び大学院生2名)も参加し、大いに賑わいました。周皮(黄色い皮の部分)を採取(写真2~4)し、表皮が一部残った周皮(写真5)を観察すると、皆、不思議がっておりました。小野木准教授によると、キハダの周皮は天日乾燥されて「オウバク」という生薬として用いられること、大学の研究者でも実際に木を伐採して周皮を採取する体験をすることは稀ではないか、とのことでした。

写真2. 伐採木より周皮を剥ぐ

写真3. 表皮と周皮の様子

写真4. NPOメンバーと大学の研究者が協力して周皮を採取

写真5. 表皮が一部残った周皮
キハダの伐採と周皮の採取・観察会の後、NPOの月例会(写真6)が行われ、東北福祉大学と城西大学の研究者もオブザーバーとして参加してもらいました。月例会では山元町の農家さんよりご提供いただいた朝採りの伊達むらさきのお浸し(写真7)を試食しながら、伊達むらさきの話や山元町の農業、生薬植物などの情報を共有するなど、活発な意見交換ができました。また、伊達むらさきに限らず、山元町の古民家という、新たな街の魅力に気づかされた企画でした。

写真6. NPO月例会の様子

写真7. 伊達むらさきのお浸し